い ち ょ う の 会 に つ い て

いちょうの会代表幹事
弁護士   植田 勝博

【大阪いちょうの会とは】
大阪いちょうの会の正式名称は「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」です。 その以前は「大阪クレジット・サラ金被害者の会」と言いました。発足は1993年(平成4年)11月です。クレジット,サラ金の被害は,昭和50年頃,利息制限法(年利15%~20%)は無視されて年利109,5%(100万円の借金で月約9万円の金利)の営業がされていわゆるサラ金地獄と言われました。 昭和52年(1977年)に,大阪の有志の弁護士がサラ金問題研究会を結成して「サラ金110番」を発行してサラ金地獄の被害者の救済と立法活動をし,「被害者の会」が大阪を始め,各地で結成されて全国の運動へと発展しました。

【サラ金被害とは,貧困とは】
サラ金被害とは,暴利の金融です。このような金融がはびこるのは貧困社会です。貧困者は目先の金銭が得たく暴利の金融を利用して,当然,返済困難な利用者は次の借金で金利を返済して自転車操業の繰り返して短時間で行き詰まります。職場の退職,自営業は倒産して,夜逃げ,家庭崩壊をする被害が多発しました。 社会崩壊をする暴利金融は律令の時代(700年代)から規制をされ,領地から人が夜逃げするのを止めるために,鎌倉,室町時代には「徳政令」で借金の免除の命令が出されていました。 貧困社会にはびこるのは,暴利と賭博です。何れも家庭崩壊,社会崩壊を招き犯罪として規制してきました。 その後の,ホームレス被害者の救済,生活保護支給のための活動は,ホームレスの過半数は,サラ金・クレジットの債務を負い,職を失い,家庭は崩壊し,家賃が払えず,ホームレスになっている実体がありました。 クレジット,サラ金被害をなくすためには,その土台の貧困をなくす活動が必要であることが明らかとなりました。 貧困とは,社会崩壊を招き,人同志の対立,戦争の土台となることは,第二次大戦に至った経緯からも明らかです。私達は,消費者被害,貧困をなくす活動をもって,皆が共に協力して生きることが,私達の社会を,平和で豊にし,自由と人の尊厳を守る社会を創ることとなり,その活動が必要だと考えます。

【大阪いちょうの会の活動】
大阪いちょうの会は,被害者,弁護士,司法書士、関係者らが集まって,多数の被害者による現場の声を,いちょうの会として,社会に情報を提供し,また集団的な救済をし,社会や法律の制度の改善を求め,関係機関に申入れをし,社会運動をしてきました。被害者の問題や障害を取り除いて,被害者が主体的に生きていくための支援をして来ました。 大阪いちょうの会は,現在,① 多重債務,ヤミ金,貧困ビジネスからの救済,② ホームレス,生活困窮者,生活保護の取組,③ 自殺からの救済,④ ギャンブル依存症の救済,⑤ 西成相談,⑥ 奨学金返還訴訟への取り組み,その他,相談内容に応じた様々な問題に対する取組みをしています。

私達の社会を豊かにするために,多くの皆様のご参加やご支援をお願いしたいと思います。




いちょうの会代表幹事
司法書士   堀 泰夫


いちょうの会の共同代表の司法書士 堀泰夫です。
【相談者の方へ】
共同代表の植田弁護士が書いているように,大阪いちょうの会は1993年に結成され,クレサラ・ヤミ金被害者の救済と高金利引き下げを求める法律改正運動をしてきました。クレサラ被害防止運動が一定の成果をあげた現在では,クレサラ・ヤミ金被害のほか,生活困窮者支援やギャンブル依存症,高齢者障がい者の問題への取り組み,カジノ反対など幅広く活動しています。 いちょうの会の専門家会員は,相談者の生活再建を最優先にすることを申し合わせています。数ある法律家の中には,大々的に広告を打って,依頼者の生活再建などそっちのけで,いかにお金儲けをすることかしか考えていないようにみえる方もいます。 いちょうの会は,そのような法律家とは一線を画し,相談者の生活再建を第一に考えた解決手段の選択,報酬体系を取るようにしています。これを機会に生活を再建したいという方は,ぜひいちょうの会に相談してください。

【いちょうの会に興味を持たれた専門家の方へ】
いちょうの会は,上記のような活動の歴史のある団体です。その中で,相談者の生活再建を最優先に考えるべきという理念やそのための様々な方法論が形作られ,先輩から後輩へ引き継がれてきています。 入会していただいた場合には,様々な相談会に入っていただいて,先輩の相談ぶりを見たり,自ら相談を受けることによってスキルアップができます。依頼があれば,事件を受任することもできます。また,困っている人を助けるための仲間なので,先輩は皆親切ですし,債務整理に限らずヘルプの仕事を回すなど,お互いに助け合っています。活動に興味のある専門家の方は,私や事務局にご連絡をいただければと思います。お待ちしています。




いちょうの会の歩み


当会は,平成4年11月1日,サラ金被害者の救済と被害根絶のため,サラ金被害者・弁護士及び司法書士が協働するボランティア団体として創立されました。 なお,平成4年当時,多重債務という言葉は未だ使用されていませんでした。 創立当初は,司法書士がある程度の力量をつけるまで,弁護士の関与は控えるという申し合わせがあったと聞いています。 このことが,会の性質を決めることになったのだと思います。 勿論,長年サラ金被害者救済に尽力されてこられた多数のベテラン弁護士の適切な助言・支援がなければ,今日の会は存在しなかったことは言うまでもありません。

当時の司法書士に与えられた権限は,裁判所提出書類の作成に限定され,介入権など全く認められていませんでした。 又,参考図書も僅かしかなく,逆に弁護士法第72条の規定が救済活動の足枷になるという社会情勢でした。 では,そのような社会情勢の中で被害者救済に随分苦労したのかと言うと,必ずしもそうではありません。 先ず,被害者側の幹事らの意気込みに加え,限定された権限しか持たない司法書士でも被害者を支援・救済することができるという体験,被害者と司法書士が車の両輪として協働できるという体験が会を溌溂とさせていたのです。 開拓の楽しさがあったということだと思います。

当会の活動が貸金業者側に認知されるまで暫くの間,司法書士が救済に関与しても,貸金業者から被害者に対しての取立てが止まないといった事案もありました。 殆どの場合,取立行為に関するガイドラインの範囲内でしたが被害者にとっては辛いことであったに違いありません。 しかし,若干の取立てがあるということが,被害者やその家族に緊張感を与え,研修会でグレーゾーンや取り立て行為に関するガイドラインを学び,貸金業者と対峙する姿勢を養い,会の結束を強めることになっていたとも言えそうです。

高金利・過剰貸付・過酷な取立て・過剰な広告のもと,一定の割合で必然的に多重債務者が生み出される,そのような構造的な欠陥を有する貸金業界との対比において,多重債務者は被害者であると位置づけるべきだとの共通認識を得るまで相当な議論が必要でした。 創立以来,プロボノセンター・中央公会堂及びエル大阪で相談会を開催していました。 平成12年4月,念願の固定事務所を開設することができました。 ほどなく,会専従の事務局長を迎えることができ,飛躍的に活動を広げることができました。

平成12年2月,特定調停法(事実上の任意整理として利用できた),平成13年4月,民事再生法第13章(個人債務者再生)(自宅を手放すことなく債務整理ができる場合もある裁判手続き)がそれぞれ施行され,平成15年,司法書士に簡易裁判所訴訟代理権が認められました。 平成18年4月,日本司法支援センターが設立され,司法書士も法テラスを利用できるようになりました。一連の社会情勢の変化により被害者の支援・救済が格段容易になりました。 長年に亘る,全国的規模の多数の人々の多大な努力の結果,平成18年12月,貸金業規制法・出資法及び利息制限法が改正され,平成19年4月,多重債務改善プログラムが公表されました。 平成22年6月,改正貸金業法5次施行(完全施行)されました。 当会は,金利引き下げのキャラバン活動や署名活動を通じ,又,ヤミ金融とのバトルを通じて,全国各地の仲間とともにこの法律改正に積極的に関与し,いくばくかの寄与をすることができたと言えます。

当会では,上記の法的整備が整い,多重債務被害がある程度鎮静化していくなかで,新しい取り組みを始めることにしました。 ホームページで紹介しているとおり,ヤミ金問題,高齢者・障がい者問題,西成相談,依存症問題等に精力的に取り組んでいます。 当会は,30年以上に亘って,多重債務者の生活の再建を念頭に,最も適切と考えられる方法で法的手続きを選択しています。 多重債務問題だけでなく,お悩みの方は,安心して,当会にご相談してみて下さい。